スタッフレポート

リウマチ 歯周病

「慢性関節リウマチと歯科治療」について、勉強会で発表して

《関節リウマチ》

関節リウマチは炎症を主体とする原因不明の多発性関節炎で、慢性に進行し軟骨、骨の破壊、変形に

至ります。関節のみならず眼、皮膚結節、肺、心臓、血管炎などの関節外症状を表すこともあります。

日本における関節リウマチの発症率は0.3%~1%、好発年齢は30~50歳で女性が男性よりも3~5倍程度

発症します。原因は不明ですが、Tリンパ球が活性化され、関節滑膜に浸潤、サイトカインが滑膜を

増殖、炎症が進行して軟骨や骨の破壊を起こすと考えられています。

《口腔の特徴》

①顎関節の異常(リウマチ性顎関節症)

歯科パノラマレントゲンによる評価では、およそ44%程度に形態以上が認められ、下顎骨関節頭の

平坦化、萎縮、消失が生じます。関節リウマチの進行とともに、半数以上に顎運動時に疼痛を認め、

20%程度に開口障害が起こります。

②不正咬合

痛みや顎関節の変形、固縮などにより、舌や口腔周囲筋の異常緊張が起こり、開口、上顎前突が起こり

ます。

③呼吸困難

顎関節の破壊が起こり、下顎が後退し、気道閉鎖を起こしやすくなり、さらに頸椎の破壊が起こると

睡眠時に無呼吸を起こすことが多くなります。

④口腔乾燥

20~30%の関節リウマチの患者さんは自己免疫疾患であるシェーグレン症候群を発症し、重度の口腔

乾燥を起こします。口腔乾燥は特に多発性のう蝕を起こし歯科で適切な予防処置がなされないと短期間

に歯を喪失します。そのため頻回な口腔管理が必要になります。

⑤口腔清掃不良による歯周病やう蝕の多発

関節リウマチの進行に伴い、上肢の運動障害が起こり、歯ブラシや歯間ブラシなどの清掃器具を使い

にくくなり、口腔内の清掃不良により歯周病やう蝕が多発します

⑥口腔清掃の困難

手指の可動性が制限されるため、歯ブラシの選択や改良が必要になります。

《注意事項》

ステロイド剤を長期に服用していると細菌感染に対する抵抗力が減弱して、歯周病を進行させやすく

なります。 歯ブラシの毛で傷を付けないように、歯ブラシを一度水につけたり、ブラッシングをする

前にうがいをして口の中を湿らせるなどの保湿の工夫や、毛の柔らかいブラシを使用するなどの対応が

必要です。

 

《感想》

関節リウマチの患者さんが歯周病になりやすいので定期的なクリーニングを希望され来院されたとき、

なぜなりやすいのか、気を付けることは何なのかと思い調べました。注意事項を頭に入れて十分に気を

付け、その人にあったTBIをしたいと思います。

                               衛生士 藤元

  2020/09/22   ふくだ歯科

「歯周病と関節リウマチ」について、勉強会で発表して

◎関節リウマチについて

 関節リウマチとは、免疫異常により関節に腫れや痛みをともなう炎症が起こる病気です。

   30~50歳代の女性に多く認められます。

 (症状)

 起床時における関節のこわばりや関節の痛み・腫れがあり、進行すると関節の変形や手足の運動が

    制限され、機能障害が起きます。

 

◎歯周病と関節リウマチの関連

 関節リウマチ患者はより歯周病(歯周炎)にかかりやすく、特に口の中を不潔にしているリウマチ

    患者は、歯周病が重症化します。

 関節リウマチと歯周病には双方向性の関係が示されています。

    関節リウマチがあると歯周病がさらに進行する理由は、手指関節の障害による不十分な歯磨き

 (プラークコントロール)、リウマチ薬により感染しやすくなることなどが考えられます。

    歯周病があると関節リウマチがより進行する理由は、Pg菌のもつ酵素(シトルリン化変換酵素)に

    より、リウマチに関連する自己抗体(シトルリン化タンパク)が増えるためと推定されています。

 

◎歯周病・関節リウマチ患者さんに対する歯科医師・歯科衛生士の役割  両疾患が併発している患者

   さんに対して、リウマチ治療ばかりでなく歯周治療・口腔ケアを行うことが重要です。

   臨床現場において歯科医師が行うことは、

   ① リウマチ専門医と相談して、リウマチの状態や使用薬物等を把握する

   ② リウマチと歯周病の関係と通院の必要性を患者さんに説明し、両疾患の原因・リスク因子をできる

        限り排除する

   ③ リウマチ症状により口腔清掃が不十分な場合は、電動・音波歯ブラシや洗口剤の使用を行う

   歯科衛生士は

   ① 患者一人ひとりに合わせた、無理のない口腔衛生指導を行う

   ② 両疾患のリスク因子おもに生活習慣指導を本人および可能なら家族とも連絡を取って根気強く

        指導する

   ③ リウマチの特徴的な関節症状や心理状況(孤独感・疲労感)を配慮して精神的サポートを行う

   歯周病・関節リウマチ患者に対する歯科医師・歯科衛生士の役割

   1. 口腔衛生指導 口腔清掃の指導、洗口剤の導入

   2. 口腔乾燥症対策 保湿剤の導入、唾液腺・咀嚼の刺激

   3. 生活指導  歯周病リスクの排除  リウマチリスクの排除

 

<感想>

今まで歯周病と糖尿病の関連については勉強してきましたが、今回関節リウマチとの関連について

学ぶことができました。実際に、関節リウマチの患者さんが「手が痛くて歯ブラシを持つのも辛い」

と言われていました。関節リウマチの症状をきちんと理解し、無理のない指導をしながらしっかり

とサポートしていかなければならないと思いました。

                                                                                                       衛生士 松本

  2018/08/22   ふくだ歯科